愛を叫ぶ

嵐と審神者と推し、そして不妊治療からの育児中

神様のビオトープ

ビオトープとは、野菜動植物の安定した生息地。(ググって一番に出てきた意味)

結婚2年目の旦那さんが事故死したのに帰ってきて、一緒に暮らす話。

それだけ聞いたらめっちゃファンタジーなんだけど、これはそうではなく、ただひたすら信じる話。自分は気が狂ったと理解した上で、これを現実として、確固たる意思で信じ込み、続けていく、ひとりの人の、ある意味現実的な話。

しんだひとの体温も匂いも感じる。ご飯は用意しても、食べても、現実には減らない。勝手にお出かけする。

でも、妻の知らないことを、夫は話す。

ここが、ここだけがファンタジーに寄るな、と思う。まぁもしかしたら、妻が前に夫から聞いたことなのに忘れてて、いまの夫を通すことで思い出してるだけなのかもしれない。そうなるとやっぱりファンタジーじゃなくなる。

しんだ夫と、毎日を過ごす。ささやかなわがままを聞いて、その日何をしてたか話して、お互いの考えを話して、聞いて。

本当〜〜〜に、ささやかな毎日なんだけど、それがどれだけ貴重で、幸せで、大切なものかが伝わってくる。

わたしは旦那さん健在だし、毎日帰ってくるし、ちょっとした喧嘩もしつつ過ごしてるんだけど、こういう日々って本当に失くしたくないものだなって、この話読みながらずぅっと思った。

私も、旦那さん死んだらこうなりたい。

ネタバレになるけど、彼氏が帰ってきたって嘘をつく女の子が出てくる。これは、明らかな嘘。見えてなんかない。私も、旦那さんが死んでもこうなっちゃうんじゃないかと思うと悲しい。言葉にするだけで、本当にはいない彼氏。

私はいてほしい。毎日旦那さんにくっついて寝る生活を、それこそ死ぬまで続けたい。体温も匂いも感じたい。気が狂いたいな、いいなぁって本当に本当に心の底から思う私も、もう気が狂ってるんだろうか。

何度も読み返すには踏ん張りがいるけど、また読みたい本でした。